犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

遺産分割協議において介護の苦労を認めてもらった例

Lawyer Image
矢田 啓悟 弁護士が解決
所属事務所愛知さくら法律事務所
所在地愛知県 名古屋市中区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

依頼者は、母親の介護を数年年続け、母親が施設に入ってからも毎日のように面会に行きました。相続の際に、これらの事情が考慮されるべきではないかとの相談がありました。

解決への流れ

民法900条は相続分を定めており、これを法定相続分と言います。遺言がない場合には、合意のない限り、これに従い相続することになります。しかし、ずっと近くにいて、介護をしてきた人の実績を考慮しないと不公平な結論となっていしまします。そこで、民法では寄与分(904条)が認められる場合には、その人の相続する額を増やすことが認められます。この寄与分が認められるには、「被相続人の財産の維持又は増加」について特別の寄与をしているか否かが判断の対象となります。施設に入ってから毎日のように面会に行ったとしても、それで母親の財産が維持されるわけではありません。実際に自宅で介護をして、施設に入る費用や専門家に依頼をする費用を減額できたような場合にはじめて、母親の財産が維持された、と評価されます。そして、残念ながらその多くは「被相続人の財産の維持又は増加」には関連がない、と判断されます。さらには、「特別」の寄与でなければなりませんので、夫婦や親族間の扶助義務、扶養義務の範囲といえるのならば、特別の寄与にはなりません。また、介護をしていたとしても、何らかの金銭的な援助があった場合になどには、特別受益としてその額を引かれることもあります。このように様々な主張がなされることから、簡単に寄与分は認められません。この件では、調停を起こし、自分が行った介護状況を詳しく主張し、相手方もそれなりに考慮してもらったため、一定程度の寄与分を考慮した調停が成立しました。

Lawyer Image
矢田 啓悟 弁護士からのコメント

寄与分の算定方法は一律ではありませんので、弁護士とよく相談し、過去の裁判所の事例と比べていく必要があります。