この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
食品製造会社で,開業当時は3000食/日,法人成りした当時12,000食/日,最盛期は50,000食/日を製造していた従業員約50名の規模でした。スーパーと提携して事業を拡大したものの,スーパーが系列店を整理して事業を縮小したことと,競争により商品単価が下落して,店舗によっては売れれば売れるだけ赤字になるケースも出ていました。
解決への流れ
同業他社に応援を打診しても応じてくれる企業がなく,民事再生にチャレンジするだけの資金を準備できなかったこともあり,破産するほかないと決断しました。早目の相談だったため,準備は比較的余裕を持って進みました。依頼者と設定した本件の目標は,従業員に給与と解雇予告手当を支払うことでした。その原資は駅前のメインバンクに預けてありましたが,銀行に怪しまれずにまとまった金額を引き出すことにも成功しました。裁判所の支部長と面談して,破産の直前に給料と解雇予告手当を支払いたいと申し出たところ,立ち会った書記官から反対されましたが,支部長は沈黙していたので了解を得たものと承知し,Xデーには全従業員を集めて解雇を告げ,払うものを払いました。債権者が押し掛けてくると予想して会社に待機していましたが,数社が事情を確認しに飛んできましたが,騒ぎというほどお騒ぎにはなりませんでした。
破産は,経営者の決断と十分な準備期間があれば大抵スムーズに進みます。会社内部で準備に協力してくれる方がいることも重要です。計画倒産だと非難する債権者もいますが,会社の財産を隠したり特定の債権者にだけ利益を与えるようなことがなければ,非難される筋合いはありません。管財人に問題なく引き継げるよう,計画的に準備を進めるのは当然です。