この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
ずいぶん前に亡くなった叔父の遺産について、突然、遺産分割調停が申し立てられ、遠方の裁判所から呼び出されているが、どうしたらよいか、という相談がありました。遺産としては、不動産があるようでしたが、相談者は、あまり関心がないようです。
解決への流れ
ある相続人と申立人との間で深刻で複雑な対立があるようですが、相談者にとっては、あまり関係がありません。それほど大きな金額を得られるとも思われず、仕事を休んでまで、遠方の裁判所に通うのは大変です。結局、調停手続き外で、申立人の代理人弁護士と交渉し、ある程度の金額で相談者の相続分を買い取ってもらうことになりました。うっかりすると、長期にわたって、疎遠な親族間の対立に付き合わなければならないところでしたが、対価も得て、かつ早期に相続紛争から離脱することができました。
相続人が10人、20人という大人数に及ぶようになると、一挙にまとめて解決を図ることは、事実上困難です。中心となる紛争とはあまり関係のない相続人から、相続分を買い取って、当事者の数を減らし、手続きをシンプルにしていくということは、実務上、しばしば行われるやり方です(これを「相続分の譲渡」といいます)。このケースは買い取ってもらう側でしたが、逆に相続分を買い集める側の代理人として交渉し、遺産分割調停をまとめ上げていくこともあります。