この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
大家から賃貸借契約期間の満了を理由として借家の明渡しを強硬に求められており、契約期間が満了するのであればやむを得ないと考えていた。とはいえ、入居時においてはより長期間の居住を予定していたことや、引越し費用等の工面をするのに具体的な当てがなかったことから困り果て、当事務所に相談するに至った。
解決への流れ
大家との間の契約が定期借家ではなく普通賃貸借であったことから、借地借家法上の正当事由がない限り退去を求めることができないとし、正当事由の主張立証を大家側に求めた。大家側は当初強気で、裁判も辞さないとの構えであったが、当方の主張内容を精査し、また大家側も弁護士に相談をした結果、交渉による任意の退去を求めるに姿勢に転じた。当方としては、大家側が大手デベロッパーと組んで大規模マンションを建築する予定があるという情報をつかんでいたことから、退去に応じる代わりに立退料の支払いを求め、結果として賃料の約7年分の立退料を得ることで合意するに至った。
賃貸借契約が普通賃貸借である以上、正当事由がない限り、大家側は一方的に退去を求めることはできません。しかし、実際は大家側が賃貸借期間の満了を盾にして、強硬に立ち退きを迫ってくる事例が少なくないのも現実です。そのため、立退義務がないという当方の立場を明確にし、毅然とした対応をとることが大切と考えています。他方で、着地点を立退料の獲得に設定した場合には、時機を逸すると大家側の開き直り等を生むこととなり、不要な裁判に巻き込まれることにもなりかねません。そのため、その時機の見極めは極めて大きな問題であることから、弁護士の手を借りることを強くお勧めする事例のひとつです。