この事例の依頼主
50代 男性
相談者は、勤務時間中に、同僚Aに暴言を吐かれたりするなど多大な精神的ストレスを受けていました。そのことを上司に報告し対応改善を求めましたが、具体的な対応はなされず、出勤することが難しい清算状態に陥ってしまいました。相談者としては、自身の勤務地を同僚Aがいない他の勤務地とするか、もしくは、同僚Aを他の勤務地として相談者と同僚Aが接触しない状況での勤務が叶わないということであれば、会社との関係を清算したいという意向を持っていました。
1 当方の主張依頼者が置かれた事情についてはご相談時に把握をしていたので,ご依頼日当日に,弁護士から,会社に対して内容証明通知を送付し,会社には労働者が労務を提供するにあたって重大な支障を来す事由が発生することを防止し,適切に対処して,職場が労働者にとって働きやすい環境となるよう配慮する義務(職場環境配慮義務)があることを根拠として,①依頼者と同僚Aとが物理的に接触しない状況での勤務体制が講じられるべきであること,②依頼者が職場復帰するまでのあいだ,給与の支払いがなされるべきであること,③会社から依頼者への退職勧奨は止めるべきであること,を主張しました。2 会社側の反論と交渉経過会社側からは,①依頼者が主張する事実経緯は,会社の認識と齟齬があり,②依頼者の勤務態度等を理由に,依頼者を普通解雇とするという反論がありました。そこで,依頼者と協議の機会を設け,法的手続を利用して何らかの結果を得るよりも,なるべく早期に会社との関係を清算したうえで,転職活動に専念したいというご意向が固まりました。弁護士から,会社に対して,①解雇予告手当金の支払い,②適正な退職金の支払い(慰謝料名目での金員も含む。)の2点が合意できるのであれば,法的手続の利用は考えていない旨伝えたところ,会社側から同条件での和解を図りたいという旨の回答があり,早期に合意に達することができました。3 得られた結論ご依頼時から1ヶ月以内で,会社との関係を清算することができました。
依頼者の方からは,「会社から,電話や手紙で,退職届の提出を促されていたがどう対応すればわからない。」という事情をうかがっていました。できる限り早期に会社との関係を清算したいということでしたので,弁護士が交渉窓口となることで,依頼者の精神的な負担は軽減できたのではないかと思います。