犯罪・刑事事件の解決事例
#給料・残業代請求

世の中の固定残業代制度のほとんどは違法です【残業代請求】

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鈴木 祥平 弁護士が解決
所属事務所みずがき綜合法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

30代 男性

相談前の状況

Aさんは、ソフトウェア会社に7年間ほど勤務しておりましたが、毎日のように終電で帰るような日々が続き、このままでは、体を壊してしまうと考えて、会社を退職することを決意しました。残業代も固定残業代制度が導入されており、45時間までは給与に含まれるという制度になっておりました。45時間超える場合もありましたが、45時間超えても残業代が支払われることはありませんでした。会社の上司に退職届を出したところ、「今やめられてしまうと会社に大きな損害が生じてしまうので、辞めてもらっては困る。会社に損害が生じたらどうしてくれるのだ」と言われ、退職をすることもできず、2か月後にやめるということで退職届を出し、2か月会社に残ることにしましたが、2か月経っても退職をさせてもらえませんでした。そこで、Aさんはどうしたら仕事をやめることができるのかということで相談にお越しになられました。

解決への流れ

当職からのアドバイスは、会社を辞めるのは労働者の自由な意思で決めることができるということを伝え、2か月前に退職届を出しているのであれば、もう会社に行く必要はないという話をしました。会社との窓口は当職がやるので、会社に明日から行かなくてもよいという形にしました。Aさんからよく話を聞くと、45時間分の残業代については、給与に含まれているという話でしたが、どの部分が給与部分でどの部分が残業代なのかわからないような給与体系になっていたため、固定残業代制度としては違法であるという判断をしました。今までの残業代を請求することができるというアドバイスをしたところ、Aさんも残業代を請求したいという意向を確認できたので、残業代請求をすることにしました。Aさんはタイムカードを携帯電話の写真で撮影をしていたため、過去2年間にさかのぼって残業代を計算したところ、総額で432万円の残業代が発生していることがわかりました。当職が内容証明を作成し、432万円を残業代として請求したところ、会社側は顧問弁護士に相談をしたようで、顧問弁護士から「固定残業代制度を導入していることから、残業代は支払う必要はない」という回答が届きました。当職から、固定残業代制度に関しては、給与部分と残業代部分が明確に区分されていない場合には違法であるという判例が出ていることを指摘し、判例等の資料を添えて会社の顧問弁護士に送付をしたところ、会社側からは、100万円までであれば支払うことが可能であるという回答が届きました。これ以上、会社側と話しをしても話が前に進まないと思ったため、裁判所に残業代請求の訴訟を提起しました。残業をしたこと自体については、タイムカードという客観的な資料があったため、争点は固定残業代制度の適法性ということに絞られました。審理を積み重ねた結果、裁判所からの和解の話があり、「本件の固定残業代制度は裁判所としては、違法であると思われる。約8割にあたる350万円で和解をすることができないか」という提案がありました。会社側は、これ以上訴訟が長引くことについて望ましくないと思ったのか、350万円の和解案を受け入れてくれ、Aさんも、これ以上長引くのであれば和解をしたほうがよいということで納得をしてくれ、350万円の解決金を獲得することができました。

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鈴木 祥平 弁護士からのコメント

固定残業代制度については、昨今、会社側にとても厳しい判断が下されており、固定残業代制度が有効になるケースはまれです。「固定残業代に含まれているから残業代を支払わない」という主張は、なかなか通りづらくなっております。簡単にあきらめないで残業代を支払わないブラック企業には、適正な賃金を支払わせるようにしましょう。