犯罪・刑事事件の解決事例
#不当解雇

「もう会社に明日から来なくていい」は許されません!

Lawyer Image
鈴木 祥平 弁護士が解決
所属事務所みずがき綜合法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

30代 男性

相談前の状況

ホーム制作会社で作成担当として勤務していたAさんとBさんが個人的に友人の経営している飲食店のホームページの作成を依頼されて作成したことについて、会社に利益を帰属させなければならないのに、会社に無断で個人的に受注をしたということで会社の社長に懲戒解雇をされた事案。AさんとBさんが無料法律相談をしたいということで当職のところに相談にお越しになられました。

解決への流れ

当初、AさんとBさんは、「もう会社に明日から来なくていい」と言われただけで、会社における地位が不確定な状況であったことから、当職が「メールでもいいから、解雇をされたという証拠を確保しておいて欲しい」と指示をしました。AさんとBさんが会社の社長に「明日から来なくていいというのはどういう意味か」と言う趣旨のメールを送信したところ、「会社としては会社に対する背任行為が当たると考えて、二人を懲戒解雇にした。だから、明日から来なくていいと言う意味だ」と言う返信がありました。その後、二人からの依頼を受けて、会社に対して解雇を撤回する旨の請求と未払い賃金の請求をする内容証明を当職名義で送付しました。会社からは、当職の事務所にFAXで「会社としては会社の利益を横取りしたわけであるから、当然の対応をしただけであり、解雇を撤回するつもりはないし、賃金も支払う必要はないと考えている」という回答があった。会社との交渉をしても埒が開かないと判断し、当職としては東京地方裁判に労働者としての地位確認請求と未払い賃金の請求の労働審判を申し立てた。会社側は、労働審判になってから弁護士を選任して、会社で勤務時に私的にメールを使っていたとか、会社の機密を漏らしたなどという懲戒事由を追加したが主張したが、事実無根の主張であり、仮に、そのような事実が認められたとしても懲戒解雇が認められるような事由ではなかったことから、解雇無効であるとの判断が出された。結局のところ、AさんとBさんは、会社に残るつもりはないということで、合意退職することにし、それぞれ6ヶ月分の給与を会社側から退職金として得て、円満退職することになった。今では、AさんとBさんは、その資金を元手にしてホームページの作成を受注する会社を設立して、うまくやっているようです。

Lawyer Image
鈴木 祥平 弁護士からのコメント

会社は、従業員をクビにする場合、明確に解雇であるという意思表示をせずに「明日から来なくて良いから」という曖昧な意思表明をすることが多いです。後で法的紛争になった場合、それは「退職することを進めただけであって、解雇の意思表示ではない」などという言い訳をさせないようにするためにも、会社からの意思表示があった際には、それが具体的にどのような意思表示なのかを確定しておく必要があります。無料法律相談を利用するなどして、弁護士のアドバイスを受けて、どのように対応をするべきかを聞いておくと良いと思われます。