この事例の依頼主
50代 男性
Xさんは、飲食店の料理長としてAという飲食店に勤務しておりました。Xさんの給料が月額65万円と他の社員に比べて高かったことから、整理解雇をすると称してA社はXさんを解雇してしまいました。しかも、月初めに行われるミーティングにおいて2週間後から来なくて良いと言われて、突然の解雇の話だったようです。Xさんは、そのような会社なら辞めてやるという思いが強かったのですが、Xさんの奥様と相談した結果、同様な勤務条件で働くということはなかなか難しいということから、どうしたらよいかわからなくなってしまい当職の所に相談に来ました。
当職は不当な解雇なので争った方がよいと判断したため、その旨をアドバイスをさせていただきました。そうしたところ、当職を代理人として労働審判を提起することにしました。Xさんとしては復職を求めることが主眼にあったため、労働審判を提起して地位確認を求めましたが、労働審判における調停において相手方は復職を拒否いたしました。期日を重ねても解決金による退職と復職を求めるXさんの溝は埋まることはありませんでした。最終的には、労働審判委員会は、解雇無効を前提とした解決金の支払を命じる審判を出しました。当職はあくまでXさんの要望が復職であったため、労働審判委員会の審判に対して、従業員の地位確認を求めて異議を出しました。事件は東京地方裁判所に移行しました。それに併せて、地位保全の仮処分を申立て、さらに、賃金仮払いを東京地方裁判所に求めて、月額18万円の賃金仮払いを命じる決定を獲得することができました。相手方は、この決定に対する不服申立てとして抗告を出しましたが、東京高等裁判所で抗告棄却決定が出されました(勝訴)。その後、本訴である地位確認訴訟において、東京地方裁判所で地位確認請求等認容判決獲得することができました。(完全勝訴)。これに対し、相手方(被告)が控訴をしましたが、東京高等裁判所にて、総額700万円の解決金を相手方が支払うという勝訴的和解を勝ち取ることができました。
この事案は、解決までに1年以上の時間がかかりましたが、Xさんが粘り強く訴訟追行をしてくれたこと、安易に相手方の要求を受け入れることをしなかったことが良い結果を得るポイントだったと思います。