犯罪・刑事事件の解決事例
#建物明け渡し・立ち退き

【立退料事例(賃貸人側)】アパート建替えのための明渡請求と管理会社の業務上横領

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鈴木 祥平 弁護士が解決
所属事務所みずがき綜合法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

60代

相談前の状況

大屋さんが経営しているアパートを建てなおして、新しくマンションを建て変えるために、賃借人として入っていた全部(6世帯)の退去を求めなければならないという案件でした。各賃借人に立ち退きを直接、お願いしましたが、立ち退き料を求めて、任意に立ち退いてくれる人は一人もおりませんでした。

解決への流れ

大屋さんから、6世帯の立ち退き交渉を依頼をされたことから、管理会社と協議をするなどをしていたところ、いろいろな書類を調査をしてみると、管理会社からの「賃借人・家賃支払状況の報告」と「実態」は、異なっていることが発覚しました。調査した結果、わかったことは、依頼をしていた「管理会社」が、家賃を横領していたということがわかりました。この管理会社は、依頼者である大家さんに対して、ウソの家賃回収状況の報告をしていたわけです。つまり、賃借人が賃料を滞納しているという報告を大家にしておきながら、実際は、賃借人は賃料を納めていたにもかかわらず、管理会社がその賃料を自分の懐に入れていたわけです。当職が事件担当後、すぐに管理会社との管理委託契約を解除しました。その上で、横領家賃を返還するように請求をしたところ、刑事告訴をされたくなかったためか、横領したお金をすぐに返済をしてきました。このように管理会社が賃料を横領しているケースというのは、当職が担当した事件でも結構な数見受けられます。それと同時に、アパートの立替えのためには、6世帯の賃借人全員と交渉をして、適正な立ち退き料を計算をした上で、立ち退き料の交付をするから立ち退きをお願いしたい旨の交渉をしたところ、再度の1人が最後まで粘られて交渉も難航しましたが、最終的には、全て明渡交渉が成立しました。

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鈴木 祥平 弁護士からのコメント

建物からの立退きを交渉するプロセスで、賃借人側から言われるのは、①立退きの時間の猶予と②立退料の支払を求められることがあります。また、実際に立退きをしてもらう前に立退料を前払いで支払ってしまうと、立ち退き期日に立退きせずに「もう少し支払って欲しい」というゴネ得のリスクがあります。他方で、賃借人側は、新しく住む場所を借りるのに、仲介手数料、敷金、礼金などの一時金が必要で、それがないと立ち退きできないということも多く、立ち退き料を事前に支払ってあげる必要性もあります。そのような場合、新しく住む場所を借りるのに必要な一時金を立退料の一部としてまず支払って、実際に立ち退き完了後に立退料の残金を支払うという方法をとります。こうすることによって、実際に立ち退いたことのメリットを付与するのです。このようなやり方で立ち退きがスムーズに行く場合もあります。