この事例の依頼主
60代
当職のところに賃貸マンションを経営されているオーナーのAさん方が相談に来られました。賃貸人であるAさんは、個人事業主として30年以上前から投資用の不動産を購入し、賃貸に出して賃料収入を得ておりました。物件としては、都内を中心にワンルームマンションを5件、店舗テナント用の物件を2件所有しておりました。賃借人の中には、家賃を滞納する人が複数人出てきており、購入時のローンを賃料収入から支払っていたので、自分の預貯金を切り崩して支払っていかなければならない事態が生じてしまいました。当職のところに相談に来るまでは自分で賃料を支払うように請求書を出したり、内容証明を出したりしていたようですが、悪質な賃借人はいくら連絡をとっても電話に出ることもなく、書面にも全く回答をしないという方出て来たようです。Aさんの話では、賃借人はAさんの話を真剣に取り合わず、「お金が入ったら払います」とのらりくらりと支払いを引き延ばすだけで何の対応もしてくれないということでした。Aさんとしては、賃貸借契約を解除し、賃貸人Aに退去してもらいたいと希望しておりましたが、その要望についても「追い出せるものなら追い出してみろ」というような対応をされ、困っておりました。そこで、賃借人Aに、「賃貸借契約の解除」と「建物の明渡し」を弁護士の名前でしてほしいということでご相談に来られました。
当職としては、まずは、賃借人に真剣に対応しなければ、法的措置を辞さないという強い意思を見せるために、賃料不払い等を理由とする「解除通知書」(内容証明)を賃貸人Aに送付いたしました。弁護士から「解除通知書」が届いてびっくりしたのか、通知書を送付してから4日後くらいに、賃借人Bから当職の事務所に電話がかかってきました。賃借人Bは、相手が弁護士だとわかると、自分が支払っていない未払い賃料額をすべて認め、当職との交渉に応じる姿勢を見せましたので、弁護士は、法律上に賃借人Bがどのような立場にあるのかを説明し、即座に退去するように求めました。そうしたところ、ご依頼をいただいてから2か月ほどで、賃貸人Aに対して未払い賃料の一部を免除するという約束で賃貸物件からすぐに退去するとの合意が成立し、賃借人Bは退去することになりました。現在では、Aさんは、賃料をきちんと支払ってくれる方に再度、賃貸し、住宅ローンも滞ることなく支払い続けていると伺っております。
本件にみられるように、一般的に賃貸人本人が退去を求める程度では、賃貸人は真摯に耳を貸さず、建物から退去してもらえないケースが多くあります。「このまま放置しておいたとしても何ら法的措置を講じられるようなことはないであろう」と甘く見ているのであろうと思います。本件では、法律の専門家である弁護士が介入し、解除通知書(「内容証明」)を送付したり、交渉の段階で強制執行によって勤務先の給与債権を差し押さえるという可能性を示唆することにより、「何も対応をしないと法的措置を講じられてしまう」と認識を持って頂くことができ、早期に退去してもらうことができました。また、マンション等のオーナー様の中には、「賃借人とこれまでの付き合いもあるから、自分で賃借人に強い要求をすることが難しい」とおっしゃられる方もおられます。そういった場合、法律の専門家である弁護士が代理人につくことで、賃料請求等の交渉のストレスも軽減し、且つ、賃料の延滞者に正当な賃料請求ができるというメリットがあると思います。まずは、お気軽に無料法律相談をご利用ください。