犯罪・刑事事件の解決事例
#ビザ・在留資格

退去強制後1年6カ月で日本に入国できた事例

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関 範子 弁護士が解決
所属事務所やよい共同法律事務所
所在地東京都 港区

この事例の依頼主

30代 女性

相談前の状況

私は、前夫と離婚してしばらくしたある日、飲食店でA国人の男性と知り合い、交際するようになりました。交際が深まり、私達は結婚を意識するようになったので、同居を始めました。当時、彼はオーバーステイで在留資格がありませんでしたが、一緒に生活してみて、私達はお互いがお互いの人生のパートナーとしてかけがえのない存在だということを実感したため、きちんと結婚して、在留資格を得ようと考えるようになりました。そこで、結婚の準備をしようとしていた矢先、彼の勤務先が入管に摘発され、彼も不法滞在とのことで入管に収容されてしまいました。結局、彼は、同居開始から半年経つか経たないかの時点で、強制退去によりA国に帰国しました。その後、私はパスポートを取得してA国に行き、現地で彼と結婚しました。結婚から数日後、私は一人で日本に戻りましたが、夫と離ればなれで過ごすのは想像以上に辛いことでした。夫は、5年間は日本には入国できないと聞かされましたが、何とか早く日本に呼び戻すことができないか、弁護士に相談することにしました。

解決への流れ

弁護士に相談したところ、日本人と婚姻したことで、夫には「日本人の配偶者等」の在留資格の認定を受けて入国する手続を取ることになるが、退去強制後すぐにこれを申請しても、一度は不許可になるだろうとのことで、2回目の申請で認定を受けることを目指すことをアドバイスされました。一度退去強制で出国し、法律上、5年間は日本に上陸できないとされている以上、5年の経過を待たずに在留資格認定証明書の交付を受けるには、申請時の提出資料に様々な工夫が必要ですので、私一人では無理だと思い、1度目の申請も含めて依頼することにしました。その結果、夫は、何と1度目の申請で、「日本人の配偶者等」の在留資格を得ることができました。また、在留資格認定証明書が交付されても、その後夫自身がA国でさらに査証の発行を受ける必要がありますので、その方法や、必要書類等についても、弁護士が夫と直接英語でやり取りして指導してくれ、手続をスムーズに進めることができました。結果的に、夫は、退去強制から1年6カ月後に日本に戻ってくることができ、私と晴れて夫婦として生活を始めることができました。早めに弁護士に相談し、アドバイスに従って行動したことで良い結果を得ることができ、とても満足しています。

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関 範子 弁護士からのコメント

在留資格のない外国人が、退去強制手続によって出国した場合で、その退去の日以前に退去強制や出国命令による出国をしたことがない者であれば、退去の日から5年間は、上陸拒否期間となり、この間に日本に入国することはできません(入管法第5条第1項9号ロ)。しかし、これに該当する外国人であっても、日本人と婚姻している等、日本での在留を認める必要がある場合があります。そのため、2009年の入管法改正前の実務では、上陸拒否事由に該当する外国人が上陸しようとする場合、在留資格認定証明書交付申請をすると、上陸特別許可の可否も含めて審査が行われていました。そして、在留資格認定証明書が交付された外国人が査証を取得して来日すると、上陸拒否事由に該当することから、形式的に口頭審理を行った上で上陸特別許可をする、という運用になっていました。上記事例でも、この上陸特別許可を目指して、在留資格認定書交付申請を行いましたが、上記事例のように、過去に退去強制や出国命令による出国がなく、日本人と真摯な婚姻関係が継続しているという、比較的情状の良い案件の場合でも、通常、1度目の申請では不許可になり、2度目以降の申請で許可が出ることが多いです。そのため、2度目の申請で許可を得ることをねらって、1度目の申請をし、婚姻を証する証拠書類はもちろんのこと、2度目の申請までの間にも、相談者には夫とこまめな交流を続け、互いにやりとりした手紙類や写真等を保存し、入管への提出に備えるようにしてもらいました。その結果、1度目の申請が不許可になることなく、退去強制の日から1年6カ月ほどで、在留資格認定証明書が交付され、相談者の夫は無事日本に入国することができました。(注:2009年入管法改正後は、入管法5条の2により、上記のような場合でも、相当と認める時は、法務省令で定めるところにより、当該事由のみによっては上陸を拒否しないこととすることができると定められています。そして、在留資格認定証明書交付申請がなされると、入管規則第4条の2第1項2号に定める、上陸拒否事由に該当してから「相当な期間」の経過があること、「その他の特別の理由」があると認められれば、当該上陸拒否事由のみによっては上陸を拒否しない旨の通知書が交付されることになりました。)このように、事案によっては、退去強制後、一定の上陸拒否期間がもうけられている場合に該当しても、その期間が経過するよりも早く再び日本に入国できる場合もありますので、是非弁護士にご相談下さい。