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カフェに居座る「迷惑客」 店に頼んで追い出してもらえるか?
2013年04月28日 11時29分

友だちとおしゃべりをしたり、ノートパソコンを広げて作業したり、テスト勉強をしたり――。こんなふうに、カフェで長居し続けたことに心当たりはないだろうか。たしかにカフェは居心地のいい場所かもしれないが、店側や新しい客からすれば席を占領されている感覚になるかもしれない。

学生の街・京都では、カフェに居座る客が多いため、「自習やPC利用で長居する客はお断り」という看板を出している店もあるということだ。カフェにはほかにも、4人席を1人で占領して譲らなかったり、何時間も居眠りしていたり、禁煙席で喫煙するといった迷惑な客がやって来ることがある。

店側としては、迷惑な客を放置しておくわけにはいかないが、追い出すことによってトラブルになるのではないかという懸念もあって、対応に頭を悩ませているところもあるという。では、そうした客のせいで店内に入れなかったり、不快な思いをした他の客はどうしようもないのだろうか。店側に「迷惑客を追い出してもらうこと」はできるのだろうか。足立敬太弁護士に聞いた。

●カフェをどのように使ってもらいたいかは、オーナーや店長が決めること

「迷惑客を追い出してもらうよう店側にお願いすることはできますが、最終的に、実行するかどうかは店の判断になります。『追い出したい』という要望は、必ずしも実現するわけではありません」

足立弁護士はこのように端的に述べる。

「たとえば、自習やPC利用が迷惑と感じる客もいれば、そうでない客もいます。そしてカフェは、そもそも自分だけのプライベートな空間ではない以上、自分が気にくわないからといって、直ちに『迷惑だから排除してほしい』とはいきません。我慢しなければならないときもあります」

たしかに、一言で「迷惑」といっても、その判断基準は人によって曖昧で、千差万別なものだろう。では、カフェで優雅なひとときを過ごそうと思ってやってきた客の立場はどうなるのか。

「客にカフェをどのように使ってもらいたいか、カフェをどのような雰囲気に保ちたいかは、カフェの管理者、たとえばカフェのオーナーや店長が決めることです。

『静かな雰囲気を楽しんでもらいたい』というカフェの場合、客の振るまいがその雰囲気にそぐわないときは、管理者が注意したりするでしょう。

他方、忙しい学生や社会人に活動の場を提供するカフェであれば、自習やPC利用にも寛大になります。逆に長居をされて客の回転が悪く困っているカフェであれば、自習やPC利用を遠慮してもらい、時には禁止する措置もとるでしょう」

足立弁護士は「自分の用途に合ったカフェ選びを客が考える必要があります」とアドバイスする。カフェは多様なほうが望ましいから、なかには自習する学生を眺めて目を細めるマスターの店があってもいいだろう。良いカフェとの出会いは偶然によるだろうが、利用に合わせた選択肢を増やすとよいかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

友だちとおしゃべりをしたり、ノートパソコンを広げて作業したり、テスト勉強をしたり――。こんなふうに、カフェで長居し続けたことに心当たりはないだろうか。たしかにカフェは居心地のいい場所かもしれないが、店側や新しい客からすれば席を占領されている感覚になるかもしれない。

学生の街・京都では、カフェに居座る客が多いため、「自習やPC利用で長居する客はお断り」という看板を出している店もあるということだ。カフェにはほかにも、4人席を1人で占領して譲らなかったり、何時間も居眠りしていたり、禁煙席で喫煙するといった迷惑な客がやって来ることがある。

店側としては、迷惑な客を放置しておくわけにはいかないが、追い出すことによってトラブルになるのではないかという懸念もあって、対応に頭を悩ませているところもあるという。では、そうした客のせいで店内に入れなかったり、不快な思いをした他の客はどうしようもないのだろうか。店側に「迷惑客を追い出してもらうこと」はできるのだろうか。足立敬太弁護士に聞いた。

●カフェをどのように使ってもらいたいかは、オーナーや店長が決めること

「迷惑客を追い出してもらうよう店側にお願いすることはできますが、最終的に、実行するかどうかは店の判断になります。『追い出したい』という要望は、必ずしも実現するわけではありません」

足立弁護士はこのように端的に述べる。

「たとえば、自習やPC利用が迷惑と感じる客もいれば、そうでない客もいます。そしてカフェは、そもそも自分だけのプライベートな空間ではない以上、自分が気にくわないからといって、直ちに『迷惑だから排除してほしい』とはいきません。我慢しなければならないときもあります」

たしかに、一言で「迷惑」といっても、その判断基準は人によって曖昧で、千差万別なものだろう。では、カフェで優雅なひとときを過ごそうと思ってやってきた客の立場はどうなるのか。

「客にカフェをどのように使ってもらいたいか、カフェをどのような雰囲気に保ちたいかは、カフェの管理者、たとえばカフェのオーナーや店長が決めることです。

『静かな雰囲気を楽しんでもらいたい』というカフェの場合、客の振るまいがその雰囲気にそぐわないときは、管理者が注意したりするでしょう。

他方、忙しい学生や社会人に活動の場を提供するカフェであれば、自習やPC利用にも寛大になります。逆に長居をされて客の回転が悪く困っているカフェであれば、自習やPC利用を遠慮してもらい、時には禁止する措置もとるでしょう」

足立弁護士は「自分の用途に合ったカフェ選びを客が考える必要があります」とアドバイスする。カフェは多様なほうが望ましいから、なかには自習する学生を眺めて目を細めるマスターの店があってもいいだろう。良いカフェとの出会いは偶然によるだろうが、利用に合わせた選択肢を増やすとよいかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

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